ゆとり世代のプロサッカー選手。丸山龍也のオフィシャルブログ。現在は欧州リトアニアでプレー中。

2014年11月1日

“治る怪我”と”直す怪我”の違い

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ビッグボスの指令により、本日の2部練習は両方とも自宅療養でした。

 

僕がどうやら山の奥地で施された治療はアーユルヴェーダと呼ばれるものなようです。日本でも女性を中心にアーユルヴェーダが話題になることもありますが、僕はてっきりマッサージとかエステだけのことを指すのかと思っていました。

そうではなく、スリランカでいうところのアーユルヴェーダはこの国のローカルな医療全般を指すもので、まず何か身体に異変が現れた際には西洋医学のお世話になるか?それともアーユルヴェーダか?という選択肢に辿り着くようです。

 

スリランカ人のアーユルヴェーダ信仰は根強いもので、うちのビッグボスも例外ではありません。アーユルヴェーダの先生が言っていることを信用して、「練習するな」「薬(カレー)指に塗っとけ」「冷やすな」「歩くな」と言ってくる。

先日はそんな自宅療養を無視して練習に参加してトレーニングしたところ、ボスさんは大変「おこ」でしたので、今回はおとなしく言うことを聞いていようと思います。

 

 

練習したい気持ちは山々にあるのですが、まあこれも良い機会ということで、色々と今冬の計画を練ってみたり、各所に連絡や相談をしていた次第です。

単順なサッカーの実力だけが選手の価値を決めるわけではなく、僕のような三流選手は自分からアクティブに動いていかないと、来年ボールを蹴りながらご飯を食べられなくなってしまうかもしれません。

実力的に秀でるものがない僕ですから、自分からアクティブに物事を進めるのはサッカー選手として生きていく生命線でして、今日はそんな活動に時間を多く使いました。

 

 

 

とは言え、怪我でサッカー出来ないのはやはり苦しい。

小学校6年生の時にオーバーヘッドキックの着地を失敗して左手首を骨折し、全少の県予選に出られなかったことにはじまり、小さい怪我はしょっちゅう。そういうプレースタイルなことや気性であることも加味して、基本的にいつもどこか痛いサッカー人生です。

肉離れ、捻挫、打撲の類はもちろん、歯が欠けたり皮膚が裂けたり。。。内側側副靭帯を断裂して、前十字靱帯断裂も2度経験し、椎間板ヘルニアにもなって、今は指が取れてます(笑)

 

 

ただ、怪我には2種類あると思うんです。

 

 

 

ひとつが「治る」怪我。

 

肉離れとか打撲とか切り傷など外傷的なもの・・・さらには手首の骨折などもそうですが、とにかく治癒するのを待つ怪我のことです。人間として生活していく毎日を送っていれば、そのうち自然と痛くなくなるやつ。

こういう怪我はしてしまうのは自分の実力不足からくるものが多く、そもそも相手とフィジカルコンタクトしなければ・・・とか、ケアをしっかりしてれば・・・とか、そういうところで回避できる怪我。してしまった時は相手や味方を恨むわけではなく、自分を恨むしか無い。

ただ、基本的には1ヶ月ぐらいで治るものが多いと思うので、怪我した時にはそれを自分の経験にしていけばいいし、割り切っているのなら何度しても良いのかもしれないとも思います。

僕ならプレースタイル的にこういう怪我はしてもしかたがないと思ってるので、怪我を恐れて相手に当たらないよりは、コンタクトを恐れずにプレーしてみる。その結果、残念ながらどこか痛めたとしてもそれはそれでしょうがないと考えてます。

 

そんなことを考えているタイプなので、先日Twitterでこんなことをつぶやいたのですが、

なんと自分のフォロワー数にしてはおかしいぐらいの謎のスマッシュヒットを飛ばしまして、なんとそれが全身麻酔をする直前。一番不安なときに携帯がピコンピコン鳴りっぱなしになったので、本当にたくさんの力をもらった気になれました(笑)

 でもキレイ事じゃなくてガチでそういう選手になりたい。

 

 

 

 

 

それでもうひとつが「直す」怪我。

前十字靱帯断裂や半月板損傷、関節のクリーニングを行うものや、腰のヘルニアもそうかもしれません。ほったらかしてても一生治らないやつです。

「早く治せよ!」

リハビリ時代、何人ものひとからこうやって声をかけていただきましたが、いまいち飲み込みにくかったのがこの言葉でした。

というのも一度目の前十字の時は膝の裏にある腱を、二度目の時は膝蓋腱(膝のお皿の下の腱)を移植し、骨に穴を開けて腱を通してクリップで止める・・・という手術をしています。

 

 

 

手術直後は車椅子、そこから松葉杖になり、松葉杖が一本になり、退院する頃には8万円もする装具を膝につけての退院です。膝も最初は一切曲がらず、2週間程かけて毎日、自力とマシンとで膝を曲げる練習をして、ようやく日常生活に不安のない程度の屈曲性を身につけます。

立つ練習からはじまり、トイレに行くのにも一苦労な時期を乗り越え、4ヶ月〜5ヶ月ほどからようやくある程度のスピードでランニングができるようになっていきます。全力で走れるようになるには半年から8ヶ月かかるのがこの前十字靱帯断裂からの復帰というペースです。内側側副靭帯も同様。

 

これはもう治るというよりも、直す。

 

 

 

故障した車や機械に対して、新しいパーツを用意して組み換え、本来もっている性能に近づけていく作業に近いです。ブレーキパッドやエンジンベルトがダメになったら、新しいパーツをどこからか持ってきてフィッティングさせいくのと同じような作業。

 

 

人間様の治癒力に身を任せてほっといても治るようなものではなく、だからこそ前述のような「早く治してね」とか、「まだ治らないの?」という言葉にはありがたいという気持ち同時に、違和感を抱いていました。俺は自分の足を自分で修理してるんだ。

 

こういう怪我は予防策はあるようでないようなもので、同じような筋力やバランス、走り方でも怪我しない人はしないしする人はする。怪我してみて初めて、「ああ、もっとこういうところを気にかけておけばよかった」と後悔するような怪我なのです。でも世界レベルでもしてしまうときはしてしまうし、してしまったらそれを糧にしていくしか無い。

僕の場合は色々と学んだり葛藤したりする時間があったので、今となっては怪我してみてよかったと思ってます。

 

サッカーをやっていると、その他にも「直す」怪我に遭遇することもあるかと思いますが、その後に大切なのは自分でチューニングしていく作業で、むしろイチからその箇所を作り直すような感覚かもしれません。

もう以前の膝や足首や腰には戻らないから、別物のパーツをセッティングしてチューニングして身体全体になじませる。新しい感覚に慣れる。違和感を受け入れる。そういうルーティーンワークだと思ってリハビリをするほうが気が楽です。だって前のような膝とは全然違うんだもん、そこ追い求めても一生辿りつけない。

 

 

 

で、今回の親指が外れた末節骨脱臼ですが、どうやら調べていると指先の感覚や体のバランスは、以前とはまた別物のようになっていくようです。体重のかけ方や指の動かした時の感触もまた別物になっていくそう。

「治す」と「直すの」間ぐらいの怪我なのかも・・・。

今回もまた、新しいスパイクを足になじませるように、新たな自分の指の感覚を身体にフィットさせる作業が必要かもしれません・・・。

 

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ただ、今重要なのは俺が寝ているところの近くにゴキブリが逃げて出てこないこと。膝より指より人生より、ゴキブリさんと一緒に一夜を過ごすことの方がよっぽど大問題なので、どうにかしたいと思います(笑)

 

明日トレーニングして、明後日は再び試合。無理せず頑張ります。

治る怪我も直す怪我も、まずはしないのが一番大事です。

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